「逸失利益」の算定方法は困難です

 「逸失利益」とは、死亡したときや後遺障害が認定されたときに請求する賠償金です。「後遺障害」の場合、健常であれば将来にわたって受け取れたであろう収入や、後遺障害のために減額になった収入などを指します。

 しかしこの逸失利益、相応額を算出するのは非常に困難です。
 後遺障害によって被害者の労働能力にどのくらい影響が出て、その影響がどのくらいの期間続き、その期間に本来得られるはずだった収入はどのくらいなのか、等々を算出しなければならないからです。

 算出のためには「労働能力喪失期間」に対応する「ライプニッツ係数(※)」を使用し、専門的な計算が必要になります。とはいえ、個人の身体的な障害を「労働能力喪失率」や「労働能力喪失期間」という数字で表すという行為自体に、無理があるのは事実です。

 よって、損害賠償請求の際には、保険会社との話し合いでもめることが多々あります。

ライプニッツ係数……将来の収入を一時金で受け取るために、途中で発生する年5%の利息を複利で差し引くための係数

「労働能力喪失率」とは?

 仮に事故に遭って「左手が肩までしか上がらない」という後遺障害を負ったとします。この後遺症によって失われてしまった「お金を稼ぐ能力のパーセンテージ」を「労働能力喪失率」と言います。

 これを決定するための重要な指針とされるのが、「後遺障害等級」です。第1級から第3級までは、完全に労働能力が失われたとして「100%」という数字が算出されます。以降、等級が下がる毎にパーセンテージも下がっていき、第14級では「5%」と認定されます。

 ただし、これはあくまで基準・指針であり、障害の部位や程度(例えば14級の後遺障害は複数あっても併合14級とされます)、あるいは職業によってもパーセンテージは大きく変化します。

 この「労働能力喪失率」によって、逸失利益の額は大きく異なってくるのです。

 

「労働能力喪失期間」とは?

 「労働能力喪失期間」とは、後遺障害によって労働能力を喪失している期間を指します。とはいえ、単純に計算できるものではありません。

 後遺障害とは医師から症状固定を宣言されている状態ですから、残りの一生が該当するように思えます。しかし高齢になってからも、若い頃と同様に働ける人はいません。

 そのため、基本的には「労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳までとする」と定められています。なお、症状固定時から67歳までの年数が、平均余命の2分の1より短くなる高齢者の労働能力喪失期間については、「原則として平均余命の2分の1とする」とされています。

 いずれにせよ、被害者に残された就労可能な期間や現在の年齢、事故前の労働状況等々を考慮し、「労働能力喪失期間」は算出されます。

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